里山にホトトギスが鳴き、さつき花咲くこの季節、昨年に引き続き
第二回風雅,を開催させて頂くこととなりました。
盆栽展と言えば、秋冬の大展覧が多く見られますが、
一木一草、そして水石が奏でる自然美を、多くのみな様と堪能しようと思いました。
冬姿では見過ごしてしまわれそうな草木が、美しい緑を呈する今の季節は、
私達に命の素晴らしさを伝えてくれます。
水に打たれた水石や掛物との調和などによって、
更にそこにひとつの自然に対する讃歌が繰り広げられます。
私たちは盆栽や水石を通して、日本人が自然と共生し、
慈愛の心を以って生きてきた姿を、もう一度再認識できればと願っております。
本展の開催に際し、ご協力頂いた愛好家の皆様、
会場をご提供頂いた鹿沼市花木センター様、
そして本展の意義をご理解頂き、貴重な作品をご用意頂いた
著名盆栽作家の皆様へ、心より御礼申し上げます。
御清覧のひとときが“日本の自然美”によって心癒される刻と
なりまことが主催一同の切なる願いであります。
風雅展実行委員会
ご挨拶

特別出品
内閣総理大臣賞受賞(日本盆栽作風展第35回)
山採りの素材を長い培養で空間を活かした三幹に仕立てた作品です。
品名:五葉松
鉢:和楕円
第二回風雅展


特別出品
内閣総理大臣賞受賞(日本盆栽作風展第22.29.31.33.36回)
深山に聴こえる滝の音。はぜの緑蔭で竿を置く釣人…初夏へ迎う大自然の景色を三位一体で表現した一席です。
品名:ハゼ
鉢:和白釉輪花
軸:扇面滝の図
添:木彫 釣人(田中一光作)
第二回風雅展




特別出品
内閣総理大臣賞受賞(日本盆栽作風展第32回)
帝都名庭八芳園の茶室に飾られた歴史を持つ樹を名匠の手により伸びやかな現在の姿に改作したものです。軸・添共に王道の飾りです。
品名:五葉松
鉢:紫泥剣古鏡型
軸:旭日図 鉄千筆
添:屋久島しょうま(瑠璃広東輪花式)
第二回風雅展




特別出品
内閣総理大臣賞受賞(日本盆栽作風展第14.17.24.26回)
滝の様に懸垂する姿を見事な培養で均整を見せるのは盆栽界第一人者と謳われる作家ならではのもの。季節の軸、主木に合わせて木彫も見事です。
品名:グミ
鉢:青交趾輪花
軸:揚雲雀 森月城筆
添:木彫 亭(田中一光作)
第二回風雅展




特別出品
ひとつの幹から株状に広がる樹姿。“目に青葉、山ほととぎす…”の名句を盆栽で表現した季節感満点の席です。
品名:山もみじ
鉢:白交趾楕円
軸:月に時鳥 景年筆
第二回風雅展



特別出品
“料理の鉄人”は盆栽を愛し、銀座の店は四季折々の自然が常に飾られています。
風になびく松…遥かに見える山々。大自然の美
品名:五葉松
鉢:和南蛮丸
添:鞍馬石
軸:鳥鳴山更幽 大徳寺則州書
第二回風雅展




二本の老幹が“相生(あいおい)”の姿を描き、五葉松ならではの雅趣を表現しました。
品名:五葉松
鉢:和楕円
第二回風雅展


“月光松根を照らす”の禅語を具現。老松の脇に置かれた控えめな滝姿がそこにある世界の深淵さを物語っています。
品名:赤松
鉢:和南蛮丸
軸:月 中林竹洞筆
添:貴船滝石
第二回風雅展



五葉松ならではの穏やかな双幹体。
鉢映りや草の選定など、古典を極めた大家の美意識です。
品名:五葉松
鉢:紫泥楕円
添:雪の下
第二回風雅展



松柏盆栽の頂点と云える五葉松。格調と典雅の極みは250年の年輪の結晶です。
品名:五葉松
鉢:和長方
添:京焼双鶴
第二回風雅展



端整な姿のもみじは、席主が苗木の頃より作出したものです。遠くに霞む松姿は淡墨であることが、もみじの緑を映えさせます。溜り石も妙。
品名:山もみじ
鉢:和緑釉陣笠(福茂)
軸:古画 霞松
添:八瀬巣立溜石 初代香山瑠璃釉楕円水盤
第二回風雅展



細やかな線と儚い花姿はこの季節を代表する花です。
締めた色調の鉢合せ、取りわけ卓の吟味は名手のなせる妙です。
品名:あじさい(黒姫)
鉢:尾張焼瑠璃釉丸
軸:鶺鴒図 青茲筆
添:鋳銅老亀
第二回風雅展



僅かな細幹に広がる青葉。山採り素材が創り出す見事な風情。水気漂う子の季節ならではの一席です。
品名:いたやもみじ
鉢:黄南京長方
軸:岩上鷺
下草:じゃこう草
第二回風雅展




何気なく見える株姿のもみじ。そのバランス、鉢合わせは“自然体の美”を観得する蔵者の美。
掛物は“心象”で今を捉えた絶妙の世界です。
品名:板谷もみじ
鉢:一陽長方
軸:双蛙図 田中以知庵筆
第二回風雅展



清冽な瀑布の飛沫を受ける岩がらみは今が花季です。染付の舟がその景趣を扶け(たすけ)、深山渓谷の世界この一席にあり。
品名:岩がらみ
鉢:青交趾輪花
軸:瀑布 晃祥筆
添:平戸焼染付舟形香炉
第二回風雅展




絶妙な旋律を描く主幹副幹子幹を持つ杜松。
朧(おぼろ)に浮かぶ月下に横たう老鹿
神木見立ての一席が配軸、添えから感得される
品名:杜松
鉢:和朱泥長方
軸:月下の音 柴田是真筆
添:木彫 鹿
第二回風雅展




林間を渡る風。天空には月明かりの中に一閃の時鳥。
静寂の中に置かれた旅僧の笠と杖。綻びたその姿は“旅の終”を感じさせます。
名手の飾りここにあり。
品名:真柏(根連り)
鉢:紫泥胴紐長方
軸:月にほととぎす 玉章筆
添:木彫 笠に杖(田中一光作)
第二回風雅展




積年の培養の中にも“もみじらしさ”を失わず、枝先の柔らかさを保っているのは栽家としての歴史を持つ席主の力量。“緑蔭”の具現あり
品名:山もみじ
鉢:南蛮丸
添:牙彫舟
第二回風雅展



モダンな姿のもみじは古典の名手の蔵品です。
八ッ橋、あみ舟が初夏の涼を呼んでいます。
品名:いたやもみじ
鉢:凡才作変り鉢
軸:あみ舟 小川芋銭筆
添:木彫八ッ橋 (田中一光)
第二回風雅展




神妙、神秘を描く真柏。神仙飛ぶ山岳に死生観を見せる樹に現世の風趣を軸と石で織り込む熟練の栽家の席飾りです。
品名:真柏
鉢:朱泥正方
軸:月に時鳥 鉄斉画蓮月賛
添:貴船滝石
第二回風雅展




侘び枯れた草庵を具現する佐治川石。
雨中を飛び交う二羽の燕。水石に季節感を与えた見事な一席です。
軸:雨双燕 柴田是真筆
品名:佐治川石
第二回風雅展



霧煙山岳に見える石清水の流れ、これを源流とする大河に悠々と遊ぶ舟人
季節に合わせた書の意と共に水石景趣の妙あり
品名:貴船石
水盤:白交趾楕円水盤(留佩)
軸:“雨収花竹涼”大徳寺玄書
添:鋳銅苫屋舟(若原英正造)
第二回風雅展




風神は豊年の神。早苗はその美しさと訪れる稲穂姿が“日本”を連想させます。
洒落た飾りの名手として名高き席主の挑戦です。
品名:早苗
鉢:和短冊長方
軸:雷神図
添:竹製バッタ(谷村隆文作)
第二回風雅展




樹齢200年を超える北の大地の老幹。冬姿は勿論のこと、新緑の今も珠の如き若芽の美しさは蝦夷松ならではのものです。
品名:蝦夷松
鉢:紅泥袋式楕円
添:じゃこう草
第二回風雅展



“のぼり鮎”が瀬を渡る今、その現景を段石の中に水溜りを持つ石で取り合わせています。
近景と全景を無理なく構成した卓越の一席です。
品名:魚野川石
水盤:神谷一陽 蕎麦釉楕円水盤
軸:鮎 結城素明筆
第二回風雅展



夏虫の音を予見する夜月の竹林
静けさの中に一軒のくず舎。
余韻を残す幽玄の水石飾りの風趣満点
品名:加茂川くず舎石
軸:月下竹林図 狩野有景筆
第二回風雅展



古色溢れる老幹。絶妙の“落ち枝”。赤松らしい姿は細幹ゆえに見せる景趣です。
くずや石、苫舟画共に文人盆栽の三昧境です。
品名:赤松
鉢:南蛮丸
軸:古画 苫舟人
添:佐治川くずや石
第二回風雅展




日本人が心の中に描く“理想の松”旭光輝く下に豊かさの象徴として恵比須神。
三位が気高さを重んじた格調の一席です。
品名:五葉松
鉢:紫泥外縁長方
軸:旭日 呑華筆
添:木彫恵比須像(田中一光作)
第二回風雅展




屹立するような老松、水墨画から抜き出たようなこの樹は静寂と幽玄が内在しています。
“格調高い文人盆栽”
品名:五葉松
鉢:紫泥外縁長方
軸:月 清斉筆
下草:じゃこう草
第二回風雅展



揺れたつ枝味と楚と生かした花
広々とした画中に描かれた蛙が
季節の風情を一層にしています。
女流の真骨頂。
品名:がくあじさい
鉢:白素地丸
軸:雨中の蛙(安藤吾路筆)
第二回風雅展



崖上から懸垂する真柏。対山に見える渓谷の瀑布。茶掛の古筆が興趣を加え
漢画の世界が表現さえた一席。
品名:真柏
鉢:和南蛮丸
添:佐治川石
水盤:瑠璃均窯楕円水盤
軸:独船画賛 狩野山雪筆
第二回風雅展


